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月間NEWS

梅雨が明け、高知の本格的な夏がやって来ました。夏休みに入りましたが、中央高校はクラブ活動やよさこい練習など、生徒たちの元気な声が響いています。
夏休みは、高校時代にしかできない経験をたくさんしてくださいね。そして、ぜひお気に入りの一冊に出会える夏に。
一冊の本は人生の道標になります。

わたしのおすすめBOOK

ひとりひとりたいせつないのち

『犬が来る病院 命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと』

著者:大塚敦子

課題図書です。

聖路加国際病院小児科では、難病と闘う子どもたちと家族のためにQOL(いのちの質)を尊重する「トータル・ケア」を行っています。入院している子どもたちが子どもらしく笑顔でいられるように、セラピー犬の導入をはじめ、病院や家族、関係機関がチームとしてさまざまな取り組みを行っています。
私たちが日々あたりまえにしていること、あたりまえに思っていることが、難病と闘う子どもたちにとって、どれほど大切で心から望んでいることなのでしょう…。自分自身の生き方や、心のあり方を見つめなおしたくなる一冊です。

(2017年7月 担当:司書教諭)

フラダンス甲子園出場に向けて抱く、部員それぞれの気持ちとは?!

『フラダン』

著者:古内一絵

工業高校に通う穣は水泳部だったが、ある日を境に工業高校では数少ない女生徒の詩織より、フラダンス部へのスカウトを受ける。その後、穣はフラダンス部へ入部するが、そこには、部員それぞれが様々な思いを抱きつつも、フラダンス甲子園出場に向けて動き出した。
舞台は震災5年後の福島。それまでは、当り前に聞けていたこと。言えていたことが、いつの間にか遠慮をしつつ、友人関係を築かなければならない複雑な思い。また、その家族や地域の人々の、復興に対する思いも交差する。
果たして、穣たちはフラダンス甲子園に出場できるのか。また、部活動を通してこれからの生き方を、どのように考えていくのか……。

(2017年 7月 担当:司書教諭)

あなたは誰に最後の手紙(言葉)を送りたいですか?

『涙があふれるいのちの言葉』

編者:日高あつ子 写真:高橋宣之 

この本は、様々な人の手紙、遺言など、辛い状況下で家族を思う言葉が、集められた作品です。
年齢、時代、境遇も異なる皆が想い恋い焦がれ、あるいはこの世で一番愛おしいと感じる相手に、送られたメッセージです。
その言葉をより幻想的にさせる写真もあり、心惹かれる本となっています。

(2017年 6月 担当:司書教諭)

人生で一度きりの結婚式、あなたは何を求めますか?

『ウェンディングプランナーになりたいきみへ』
      〜笑いと涙の結婚式〜

株式会社プラス代表取締役社長 河合 達明著

6月のジュンブライドには少し早いですが、最近人気の職業として、ウェディングプランナーを希望する生徒が毎年います。
そこで、ウェンディングプランナーとは、「どのような職業なのか」の疑問を解決するのみでなく、人生で一度きりの結婚式を、新郎・新婦がどのような形でのぞむのか。思い出に残る結婚式とは何か。
それを常に提案していくスタッフの観点から、「結婚式とは何か」を考えていく姿が紹介されています。
また、新郎・新婦を育てたご両親たちや、支えとなる友人など。様々な人々との絆・出会い・感謝の気持ちをあらわす時間(結婚式)となるのではないか。
あらゆる角度から、結婚式にまつわる内容が、知ることのできる一冊となっている。

(2017年 5月 担当:司書教諭)

文法がわかれば見えてくる?
    名曲の知られざる歌詞の意味!

『あの歌詞は、なぜ心に残るのか』ーJポップの日本語力

山田 敏弘 著

 皆さんが好きな歌の選曲基準は何でしょうか。歌詞、曲調、歌手など、理由はそれぞれに異なると思います。
 また、ヒットする曲はなぜ老若男女を問わず、時代を越えてもなお継承されるのでしょう。その理由を、筆者は歌詞を文法より、読み解いています。
 たとえば、春のイメージと言えば、桜を連想しますが、季節を感じる歌や人気の曲は、時代と共に移り変わる言葉の中で、なぜ愛し続けられるのかなど。
 このような視点から歌詞を見直すと、曲の印象や(解釈)も違ってくるのでは・・・。その新たな発見と気づきに、出会える本となっています。

(2017年 4月 担当:司書教諭)

心の奥深い思いにふれる短編集

女のいない男たち

村上春樹 著

新しい出会いの季節の前に、人はいろいろな別れを経験します。たとえば卒業、転校、クラス替え、遠距離恋愛、親もとを離れて一人暮らし…。

この短編集は大切な女性に去られた男性の物語です。別れの寂しさ、残される者の悲しみ、孤独な思いなどが様々な男性を通して描かれます。
読み終えると、「ああ、人と別れることはこんなに寂しいことだったのだ」というあたりまえのことに気づかされます。私たちは寂しさや、悲しみ、虚しさなどの感情に蓋をして、心の奥深くに隠して日々を過ごしているように思います。

毎日の生活の中で見過ごしがちな自分の大切な感情を思い出させてくれる一冊。

(2017年 3月 担当;司書教諭)

涙がこころを癒す短編小説集

『99のなみだ・花』

名取佐和子著ほか

「仰げばとうとし」より。
【死神】というあだ名の数学教員こと矢上学と、中学生の池尻佐緒里の何気ない日々の出来事。
あることを契機に、大人となった佐緒里へ、大きな影響を与えることに・・・。
ふと、佐緒里が人生を振り返った時、矢上先生にずっと言えなかった思いを伝えようとする。
そこには切ない現実が二人を待っていた。

(2017年 2月 担当:司書教諭)

時空を美しくもがく二人の物語

『小説 君の名は』

新海 誠

昨年夏に大ヒットした映画の小説版。
田舎町に住む女子高校生・三葉と、東京で暮らす男子高校生・瀧の繰り返される不思議な夢。「私/俺たち、入れ替わってる!?」
戸惑いながらもお互いの生活を楽しむ二人。しかしある日突然、入れ替わりが途絶えてしまう。お互いの存在の大切さに気付いた瀧は、三葉に会いに行く。そしてたどり着いた先には、時空を超えた運命が待ちかまえていた――。

私たちはこの世界でかけがえのないつながりを求めている。親子、友人、家族、恋人……。その出会いは偶然かもしれない。
しかし、出会いに感謝し、誰かを大切に思う日々を積み重ねる。それが「縁」「運命」「絆」と呼ばれるものになっていくのでしょう。

(2017年 1月 担当:司書教諭☆)

県民性がよくわかる?!個性豊かな「お国ことば」

『お国柄ことばの辞典』

編者:加藤迪男

 各地における、風土・ことば(方言)・暮らし・気質などが、紹介されており、各地域の持ち味がうかがえる、一冊となっています。
 ちなみに、高知では「頭を杖につく」→仕事が多くて処理しきれないで困るさまをいうなど。
 読んで楽しめるのみでなく、各地域の生活風景も知ることのできる辞典となっています。
 あなたの出身地の「お国ことば」を、調べてみませんか?

(2016年 12月 担当:司書教諭)

彼女の幸せはどこにある?

『コンビニ人間』

村田 沙耶香
文藝春秋

【あらすじ】
恵子は三十歳を超えた今でも、フリーターとしてコンビニ店員を続けている。
周りの人々が就職や結婚で変わり続けていく中、彼女は変わらないまま過ごしていた。そんなある日…。

思わず、社会の教科書に載っていたチャップリンの『モダンタイムス』を思い出してしまいました。
コンビニの一部として働く恵子。
彼女の物事の考え方は、多くの一般の人々とは違うのかもしれません。
彼女のモノの見方を通して、改めてさまざまな事を考えさせられました。

例えば、食べ物として食べられる鳥とそうでない鳥の境界線。
そして、当人がどう思うかは関係なく、みんなと『同じ』になることは、周りのみんなが『安心』するということ。
彼女自身は人と違うことに対して無頓着ですが、自分が周りの人々を困惑させていることに徐々に気づいていきます。
本人がみんなと『同じでない』ことで悩むのが中心ではなく、周りの人々が感じる不安についてふれられており、
とても新鮮に感じました。

また、白羽さんという登場人物の考え方や行動も、非常に興味深いです。彼女にとって彼は、友人、同居人、それとも…?

ぜひ、ご一読ください。

(2016年 11月 担当:司書)

「本気で夢を見ることは誰にでもできる」

『吹部!』

赤澤竜也

 都立浅川高校の吹奏楽部は廃部寸前。新しく顧問としてやってきた三田村先生(通称ミタセン)は教師らしからぬ奇想天外な言動で、部員たちを振り回します。
 しかし、ミタセンに反発していた部員たちも次第に心を動かされ、全国吹奏楽コンクールという「本気の夢」を叶えようと一つになっていきます。
 笑いあり涙ありの日々の中、部員たちは少しずつ自分を信じ始めます…。

 夢を実現させるには、「できるか」「できないか」の基準ではなく、「やるか」「やらないか」を基準にした選択が大切だと気付かされます。自分を信じることの可能性を感じ取ってほしい1冊。

(2016年 10月 担当:司書教諭♪)

生きるために本を読もう!

『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』

ヴォーンダ・ミショー・ネルソン
原田 勝 (訳)

【あらすじ】
かつてアメリカのハーレムの街で、黒人が書いた黒人についての本を専門で取り扱う本屋があった。
開店時には「二グロは本を読まない」と言われ、出資金を出すことを拒まれたルイス・ミショー。
彼は黒人の権利獲得のため、黒人自らが、自分たちのことを知らなければと説く。
そのためには、知識を手に入れ、本を読むことが必要だと。
キング牧師、マルコムXなどの黒人解放運動の活動家たちも一目おく存在である、彼の生涯と
何より本を読む大切さを感じることができる一冊。

今回は、2016年読書感想文課題図書のひとつ『ハーレムの闘う本屋』をご紹介します。
ルイス・ミショーは、決して品行方正な人物ではありません。
もしかしたら、少年時代で驚いて本を閉じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら彼が多くの人々に示した、己を知り知識を手に入れ、本を読むことが大切であることを説く姿勢は、
本に携わる者のひとりとして、とても感銘を受けました。
本を読むことが、生きる上でいかに大切かを伝えていかなければならないと、改めて思ったことでした。

(2016年 9月 担当:司書)

自分の居場所は、部活の駅伝か。それとも、めざすは料理男子?!

タスキメシ

額賀 澪

 兄の眞家早馬と、弟の春馬は、駅伝を通して、よきライバルだった。友人にも恵まれ、青春を謳歌していた。
 だが、早馬の怪我を契機に、周囲の人間関係に変化が・・・。
 駅伝と料理を主軸に、早馬が自分の居場所探しに苦悩する。自分の思い描く将来は、果たして何なのか?
 家族・友人・すべての人たちの愛に包まれつつ、自分の居場所を導き出す、一冊となっている。

2016年 7月 担当:司書教諭

〜2013年・第11回・開高健ノンフィクション賞・受賞作〜

『誕生日をしらない女の子』虐待ーその後の子どもたち

黒川祥子

 2001年に開設された「あいち小児」は、愛知県が運営する小児専門の総合病院である。
 そこで働く杉山医師は児童青年期精神医学が専門にて、研究テーマは発達障害臨床と、子ども虐待臨床である。
 これまで数多くの被虐待児を治療してきた。虐待は保護できたので終了ではなく、むしろその後も継続的な見守りや、心のケアが必要となる。
 社会や大人とたちが、どのように関わるのか。社会問題として考えるきっかけになるため、現状を知ることができる本と、なっているのではないか。

2016年 5月 担当:司書教諭

これは、わたしたちの未来への祈り。

『チェルノブイリの祈り 未来の物語』

スベトラーナ・アレクシエービッチ
松本 妙子 訳
岩波書店

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故。
あれから30年の月日が経ちました。
30年を経て、
いまだに放射能で汚染された大地の現状をニュースなどでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

本書は昨年ノーベル文学賞を受賞したアレクシエービッチさんの作品のひとつで、
原発事故に遭遇した様々な境遇の人々のインタビューを集めたものです。
科学者、原発作業員、家族を失った人々や事故によって影響を受けた人々の生の声が載っています。

福島の原発事故はチェルノブイリの事故後に起きました。
あの事故から私たちはいったい何を学んだんだろう。
こうした過ちをもう二度と繰り返してはいけない、と強く感じました。
しかしながら本文中のある人の
「いったいどちらがいいのだろう。覚えていることか、それとも忘れてしまうことか?」(p81)という言葉が非常に印象に残りました。

この本には私たち人類が知らないでは済まされない、あまりにも辛い現実があります。
原発事故によって狂ってしまった数多くの人生。
何も知らされない住民。現場の状況を知らされないまま事故処理をさせられる人々。
危険と分かっていても故郷を離れられない人たち。
結局のところ一番弱い立場の人々が、一番被害を受けてしまうことをまざまざと見せつけられました。

特に最初と最後にある「孤独な人間の声」の言葉を聞き、
この事実を知らないということは、何と罪深いことだろうと感じました。
現在(いま)を生きる人々に一番読んで欲しい本です。

(2016年 4月 担当:司書)

今、話題の五郎丸がつづった言葉!

『五郎丸語録』

五郎丸歩
ぴあ株式会社

今、何かと話題を集めているラグビー。そして、昨年のワールドカップで大活躍した五郎丸!その五郎丸がつづった五郎丸語録。

写真と共に淡々と言葉がつづられている。その言葉一つ一つに「生きるための力」が溢れている。読み進めるにつれて、自分自身も勇気をもらう。そのひたむきな言葉に熱くなり、涙があふれた。ラグビーを知らないものが読んでもラグビーへの熱い思いが十分に伝わってくる。そして、「成功の道しるべ」になるヒントが見えてくる。今、一番熱い一冊だと思う。

( 2016年 3月  担当 図書担当教員)

ノーベル賞を受賞した研究者の素顔。

『大村智 2億人を病魔から守った化学者』

馬場 錬成
中央公論新社

【あらすじ】
日本ではあまりなじみのないマラリアやオンコセルカ症などの感染症。
病気の原因となる寄生虫を駆除する物質を微生物の中から発見し、
2億人もの人々をこれらの病魔から救ったとされる化学者、
大村智氏のその生い立ちや功績を記したノンフィクション作品。

今月は、2015年ノーベル医学・生理学賞を受賞した
大村智氏の伝記である本作品をご紹介したいと思います。

本書では、大村氏の幼少時代から2011年までの生い立ち・
研究などの功績や出来事が詳細に記録されており、
農業から研究者としての素養を身につけた少年時代、
夜間高校の教員時代や企業との産学連携の研究者時代などが書かれています。
特に、北里研究所メディカルセンターにある病院や看護専門学校などの設立の立役者であることは、
同じ看護師を養成する学校職員のひとりとして、目を見張るものがありました。
そして、美術に造詣が深い大村氏がつくった病院には、
美術館と見まがうほどの絵画の数々があると知り、一度訪れてみたいものだとも思いました。

最後に、研究というものは地道な努力。
そして、他の人の真似できないようなオリジナル性も求められること、
世界を相手にしていかないといけないなど、様々なことがあるそうです。
これらは研究のみならず、芸術や仕事、どの分野にも当てはまることだと思います。
研究者の世界に興味のある人はもちろん、同じ日本人として多くの方に手に取っていただきたい本です。

教員であった、大村氏の母である文子さんの言葉にも大変感銘を受けました。
私も、大村氏の座右の銘ともいえる言葉の「処万変主一敬」という言葉を胸に、がんばっていきたいと思います。

(2015年 12月 担当:司書)

戦争孤児が見た世界とは!

『希望の海へ』

マイケル・モーパーゴ
評論社

 第二次世界大戦後のイギリスの戦争孤児となった幼いアーサーは、姉と引き離され、「児童移民」としてオーストラリアに送られ、引き取られて先の農園の「養父」から過酷な仕打ちを受ける。アーサーは数々の不幸を経験しながら、自分の愛してくれる人と巡り合えたが、姉との再会は果たせなかった。父、アーサーの遺志を継いで娘のアリーがヨットでイギリスまでの単独航海の冒険に出る。そしてついに父の姉に巡り合うという感動作。

(2015年 12月 担当 図書担当教員)

AI(人工知能)とは?!

Pepperの衝撃!
パーソナルロボットが変える社会とビジネス

神埼洋治

 人間は、AI(人工知能)ロボットと、共存できるのか?身近なところでは、掃除機や店頭の接客案内・介護施設における、レクリエーションの担い手として、現在活用されている。
 今後は、家庭での見守り機能や、衝撃的なことに、人工知能ロ(AI)ロボットにより、奪われる職業も、存在するのではないかと、言われている。
 職業を失うのではなく、人間とAI(人工知能)ロボットが、共存することで、よりよい暮らしが、誕生することを、願わずにはいられない。
 皆さんは、AI(人工知能)ロボットと、人間は共存できると思いますか?その判断材料の一冊として、おススメします。

(2015年 11月 担当:司書教諭)

周産期医療の現実。

『コウノドリ』(1〜11巻以下続刊)

鈴ノ木 ユウ
講談社

【あらすじ】
産婦人科医として働く鴻鳥サクラ。彼には天才ピアニストという別の顔があり…。
周産期医療という医療現場を描いた物語。

今月は、秋ドラマとして現在放送中の医療マンガ『コウノドリ』をご紹介したいと思います。

医学の発展により、多くの命が救われるようになったと言われている現代。
しかしながら人にできることは限られており、この世で生命を与えられる事こそが奇跡だと思いました。

家族や医師にとって、時に非情な決断を迫られる医療現場の厳しい現実。
新生児医療のNICU。そして、あまり一般には知られていない症例やDV、未受診妊婦の危険性などの社会問題も扱っています。
重たい内容を扱っていますが、ぜひ多くの方々に読んでいただき、ご存じない方にも広めてほしい本でもあります。

目の前の患者さんを救うことに一生懸命な医師という仕事。
医療は、医師や看護師、助産師、様々なスタッフ人を含めたチームだということを垣間見ることができる貴重なマンガのひとつです。

(2015年 10月 担当:司書)

壊して作った先に残ったものは。

『スクラップ・アンド・ビルド』

羽田 圭介
文藝春秋

今月は、第153回芥川賞を受賞した『スクラップ・アンド・ビルド』をご紹介したいと思います。

【あらすじ】
「早う死にたか…。」毎日のように繰り返す祖父の介護を無職の健斗は担っている。
彼の願いをかなえるべく健斗は―。

生きるため日々筋トレに励む主人公と、死を願う老人という非常に対照的な二人。
祖父の意外にしたたかな一面が垣間見え、帯の「要介護老人と無職の孫との息詰まる攻防戦」という言葉に納得の作品でした。
普段祖父に接していない家族が見せる“やさしさ”と、一見厳しい対応している健斗の母。
本当の“やさしさ”って一体何だろうと考えさせられます。

介護は、今や私たちとは切り離すことはできない重要な問題のひとつです。
ぜひ多くの方々に読んでいただき、一緒に考えてもらえたらと思います。

夜空に浮かんだ満月に主人公が心奪われるシーンが秋にピッタリだと思い、ご紹介させていただきました。

(2015年 9月 担当:司書)

大学生と猫の探偵?次々起こる事件を解決!

先生と僕

坂木司

 大学生の主人公が、推理小説研究会のサークルに入ったことから、猫と大学生の異色コンビの探偵が誕生する。都会の猫は推理好き?!
 大学生は家庭教師役を、高校生より依頼されるも、勉強は優秀で家庭教師の必要はなかった。仕方なしに交換条件として、ミステリー好きな高校生に付き合って、様々な謎解きを猫との探偵コンビで、解決していくというもの。
 ショートストーリーになっており、短時間で読みやすい一冊となっています。明日より新学期なので、朝読書の時間におススメです。

2015年 8月 担当:司書教諭

カタリベたちの言葉に耳を傾けてみてください。

『さがしています』

アーサー・ビナード
童心社

8月6日のあの日。
ピカドンを経験した「もの」たちが語る、自分や持ち主のこと、カタリベたちを通してみえてくるもの。
彼らは、今もさがしています。大切な人々、そして未来につづく道を―。

今年は、戦後70年目の夏です。
何年経とうとも、この「もの」たちのように、いなくなってしまったかけがえのない人々を探し求めるようなことは、
決してあってはならないことだと思います。
30数ページの写真絵本という内容ですが、だからこそ
彼らの語る言葉は、「過ちを繰り返してはいけない」と私たちの胸にずっしりと響いてきます。

(2015年 8月 担当:司書)

水族館の人気者!

イルカの不思議

村山 司

いよいよ夏休み!みなさんはどこへ遊びに行くでしょうか。図書担当は今年の夏休みは、子どもと水族館へ行こう!と考えています。そこで、楽しみなのが、イルカのショーです。見た目もカワイイ、愛くるしい姿で人気ですが、一体イルカはどうしてあんなに芸達者なのか。そもそも、イルカの種類は?イルカとクジラの違いは?と多くの疑問が出てきます。その疑問について、この本を手に取り読んでみると・・・。ぜひ、読んで「イルカ」のことを知ってみよう。

2015年 7月 担当 図書担当教員

独特な雰囲気のイラストもおススメ!

『船乗りサッカレーの怖い話』

クリス・プリーストリー
理論社

【あらすじ】
ある嵐の日、その男はやって来た。
僕と妹は、自分たちの住む断崖絶壁の宿屋へ助けを求めてきたサッカレーという男を中に招き入れた。
父さんが戻ってくるのを待っている間、僕たちは、彼の話す怖い話に耳を傾けることにした…。

この作品は、サッカレーが語る海にまつわる怖い話を中心に物語が展開します。
さまざまな話のなかで、強烈な印象が残った「カタツムリ」という話をご紹介したいと思います。
みずみずしい紫陽花の近くにいる、凶暴という言葉とはおよそ無縁の「カタツムリ」。
サッカレーの話に登場する「カタツムリ」は、その対極にある生物です。
グロテスクな話が苦手な方はご注意ください。これを読んだ後、「カタツムリ」がちょっと怖くなってしまいます。

実はこの作品、『モンタギューおじさんの怖い話』『トンネルに消えた女の怖い話』と全部で3つのシリーズとなっています。
どの作品にも登場する「モンタギュー」って人はもしかして…。謎が多い作品です。

(2015年 6月 担当:司書)

誰もが一生懸命な、熱いお仕事小説!

『ハケンアニメ!』

辻村 深月
マガジンハウス

【あらすじ】
ひとつのアニメ番組の制作現場にはプロデューサー、監督、声優、脚本、絵コンテ、原画やアニメーター…。
決して表舞台には登場しなくても、数えきれない人々が仕事をしている。ぶつかり合うこともあるけれど、みんなの想いはただひとつ。
「いい仕事がしたい!」
そんなアニメ業界を描いたお仕事小説。

今月は、五月病になんかなっていられない!?
仕事への情熱にあふれている人々のお話を紹介したいと思います。
自分の仕事に誇りを持ち、より良いものを目指して頑張る人々。
裏方の人も含めて、みんなで一つのアニメ作品を作り上げる過程が垣間見ることができ、みんな頑張れ!と思わず応援したくなります。
また、一人でできる仕事は限られているということを、改めて感じました。
本屋大賞ノミネートも納得の作品です。

アニメ業界の厳しい現実も描かれていますが、ある登場人物の
「つらくても取り組む価値のある、とても楽しい仕事だ」という言葉に、プロとしての誇りを感じました。
日本の文化のひとつとして海外にも注目されているアニメ。
素晴らしい作品を制作してもらうためにも、彼らの待遇が少しでも良くなることを願ってやみません。
アニメ業界に興味のある人はもちろん、働くすべての方に手に取ってもらいたい一冊です。

(2015年 5月 担当:司書)

あなたのお気に入りの鳥は…?

『世界の美しい色の鳥』

エクスナレッジ

季節は春を迎え、色とりどりの花々が道々で楽しませてくれます。
今回紹介する本は、そんな花たちに負けず劣らず美しい、鳥の図鑑です。

本書は、写真集として美しいだけでなく、赤、青、紫など鳥の色別にまとめられており、
調べ物をするときにも大変便利な構成となっています。

鳥にはまったく詳しくなかったのですが、
カザリキヌバネドリ(ケツァール)やシロクジャク、ムジルリツグミ…。
一番美しい鳥は、コレ!と決めることができないくらい、より取りみどりです。
ちなみに、夏目漱石の『文鳥』に登場するシロブンチョウも載っていたので、再読したくなりました。

全部で11色のカラフルな世界の中から、みなさんもぜひぜひ、お気に入りの鳥を見つけてみてくださいね♪

(2015年 4月 担当:司書)

『この「さよなら」は、きっと世界の扉をひらく。』

『少女は卒業しない』

朝井 リョウ
集英社

【あらすじ】
廃校が決まった高校で、最後の卒業式が行われる。
先生やみんなとの思い出がたくさん詰まった校舎とも、これでさよなら――。
少女たちが迎える、別れと旅立ちの物語。

全員少女が主人公のお話。
彼女たちはそれぞれに抱える大切な、恋、友人、思い出などから卒業して、次のステージへと進んでいこうとします。
まさにその瞬間が描かれた物語。
変わらないものと変わっていくものはあるけれど、輝かしい未来へと突き進んで行ってくれることでしょう。
生徒会あり、部活あり、今回は、図書室もありの充実した内容です。
個人的に、「四拍子をもう一度」が読んでいて楽しかったです。

『桐島、部活やめるってよ』の朝井リョウさんによる、珠玉の青春短編集。
帯のことばがあまりに良かったので、そのまま使わせていただきました。
卒業生たちの無敵の幸運を祈って…。

(2015年 3月 担当:司書)

二番目の悪者は、だぁれ?

『二番目の悪者』

林 木林 (作)
庄野 ナホコ (絵)
小さい書房

【あらすじ】
ある国で、新しい王様を決めることになり、金のライオンは、自分こそが次の王様にふさわしいと思う。
だが、街では銀のライオンがふさわしいと口々に噂している。そこで金のライオンのした事は…。

冒頭にある「これが全て作り話だと言い切れるだろうか」というメッセージに込められた意味。
帯にある「考えない、行動しない、という罪」という言葉にも、とても奥深いものを感じました。
一見、子ども向けの童話のような短い絵本のなかに、ぞくっとするような冷たさが潜んでいます。

金のライオンの影響で、国のみんなや銀のライオンが取った行動は、誰もがしてしまう可能性があります。
常に『真実』を見極めるということの大切さ、『真実』のために戦う覚悟と強さも必要だと感じました。
私たちが、金のライオンはもちろん、二番目の悪者にならない保証はどこにもないのだから。

(2015年 2月 担当:司書)

羊が羊で羊でした。

『羊をめぐる冒険』

村上 春樹
講談社

【あらすじ】
翻訳事務所としてはじめたものの、現在は広告事業まで手掛けるようになった会社。
相棒と共同経営する”僕”のところへ、ある日、一人の奇妙な男がやってくる。
そして”僕”は、背中に星印をもつ羊を探すことに。こうして、羊をめぐる冒険が始まった…。

せっかくの羊年ということで、今まで未読だった本書を読むことにしました。
羊とは何か、羊の存在は、といった問いが次々に浮かび、まさに形而上的な内容で不思議な物語でした。
はたして羊が望んだことは、平和かそれとも…。
思わず私はつぶやきました。「やれやれ」

(2015年1月 担当:司書)

常軌を逸した狂人なのか。絵画に求めたものは。数度の挫折と失恋の末、得たものは。

炎の生涯―ファン・ゴッホ物語

アーヴィング・ストーン (著)
新庄哲夫 (翻訳)


 37歳の若さで生涯を閉じた画家ファン・ゴッホ。その炎のような情熱的な生き方。刹那的とも思える感性ゆえに数度の挫折と失恋を経験するが苦難を乗り越えてゆく姿は壮絶ともいえる。
 その波乱万丈を極めた半生を綴った伝記小説。
 
2015年 1月 担当:図書担当教員

神様からの贈り物。

『輝く夜』

百田 尚樹
講談社

【あらすじ】
イルミネーションで街は華やぎ、幸せな雰囲気があふれるクリスマス・イブ。
そんな日に突然リストラを言い渡される幸子。
「平凡な幸せが欲しいだけなのに…」そう願う彼女だが、困っている人を放っておけず…。
他4篇から成るクリスマスの短編集。

この作品には、さまざまな境遇の5人の女性が登場します。
どの人も、時に傷つき、時に理不尽な目にあいながらも一生懸命に生きています。
そんな彼女達に起きた、聖夜の不思議な奇跡。
真っ当に生きていくことは大変だけれど、見ていてくれる人はちゃんといる、と思ったクリスマスなのでした。

(2014年 12月 担当:司書)

写真&イラストで、くわしい作り方を解説!

『基礎がわかる!フェルトで作るお菓子』

寺西恵理子

裁ち方・縫い方・飾り方をはじめ、写真やイラストで解説されており、初心者でも簡単にチャレンジできる、内容になっています。
お部屋のちょっとした飾り付けや、お友達のプレゼントとしても、可愛くて喜ばれるのではないでしょうか?
また、手芸店などですでに材料がセットとなり、販売もされています。気軽に挑戦してみませんか。
ちなみに、小学生と一緒に作成しましたが、ケーキタルトと、ショートケーキを、上手に仕上げることができました。

2014年11月担当:司書教諭

読めばあなたも、図書委員になりたくなる!?

『吉野北高校図書委員会』

山本 渚
メディアファクトリー

朝晩は涼しくなり、秋を感じるようになりました。読書の秋、到来です♪
そこで今回は『吉野北高校図書委員会シリーズ』をご紹介したいと思います。

【あらすじ】
今日も、吉野北高校の図書館にはいつものメンバーがそろう。
部活をしている子もいるけれど、彼らは図書委員として日々活動している。
そんな彼らを見守る司書の牧田先生。
本あり、恋あり、友情ありの青春ど真ん中!な作品。

揺れる10代のフクザツな気持ちも描かれており、非常に好感度が高いです。
わたしも図書室が大好きだった“あの頃”を思い出しながら読みました。
図書委員会を舞台にしているだけあって、『放課後の音符』や『銀河鉄道の夜』などの作品が登場し、
かずら達と一緒にいろいろと語りたいなぁと思ってしまいます。

(2014年 9月 担当:司書)

動物との愛情物語!

『そしてベルナは星になった』

郡司 ななえ

 27歳で失明した筆者が子育てのため、犬嫌いであったが克服して盲導犬、ベルーナとパートナーを組むことになった。ベルーナを自分の子どもと同じように可愛がって生活を共にする。様々な困難を乗り越えていくうちに、ベルーナとの固いきずなと愛情が芽生える。しかし、ベルーナにも最期がやってくる。その別れは言いようもないつらさであった。
 そんな、ベルーナとの13年間を綴った作品である。読んでいくうちに自然と涙があふれてきた。動物とここまで思いを共にすることができるものだと感じさせてくれる作品であった。

(2014年 10月 担当:図書担当教諭)

第66回カンヌ国際映画祭審査員賞・受賞

そして父になる

是枝裕和・佐野晶

 ふた組の家族が、それぞれの生活を送る中、ある日病院からの知らせにより、子どもの取り違えが疑われる。
 DNA鑑定により、これまで懸命に育てた子どもが、実は違っていたという、現状を突きつけられる。 
 まだ幼い子どもが、現実を受け止めるには、あまりにも大きな出来事である。また、親としてどのような対応が、皆にとって良い方法(結果)なのか。
 苦悩し迷いつつも、ふた組の家族にとって、最善の方法を検討する姿に、涙があふれて止まらなかった。
 皆さんが同じ境遇に置かれた場合、どのような対処をのぞみますか?

2014年 8月 担当:司書教諭

自由奔放に生きた文士、吉田健一。濃密な時間とは。

時間

吉田健一

司馬遼太郎が「中世の禅者のような」と評し、倉橋由美子が「蜜の味」と評した作家、吉田健一。
吉田健一の考える時間とは、自然に過ぎ去ってゆく時間、時間の薄さ・濃さとは?時間について、考えてみませんか。

「冬の朝が晴れていれば起きて木の枝の枯れ葉が朝日という水のように流れるものにあらわれているのを見ているうちに時間がたって行く。どの位の時間がたつかというのではなくてただ確実にたって行くので長いのでも短いのでもなく
てそれが時間というものなのである。」

吉田健一「時間」より


2014年 7月 担当:図書担当教員

何もかもうまくいかなくなったときにこの中にヒントがあるはず!

『挫折と挑戦』

中竹 竜二

 早稲田大学ラグビー部で、4年生まで公式経験ゼロにもかかわらず、主将に選ばれ卒業後10年目にカリスマ清宮克幸監督の後任として監督に就任。2007年に大学選手権で早稲田大学を優勝に導いた自称「日本一オーラのない監督」中竹竜二監督。
 思いは強くあるのにけがや不運で思い通りにはいかず辛酸を味わいながらも、決してくじけなかった著者の生き方、考え方を綴る。
 スポーツに限らず日常生活の中で何もかもうまくいかなくなり落ち込んだ時に手にとってほしい一冊。必ず勇気をもらえるはず!


2014年 6月 担当:図書担当教員

憲法をもっと身近に感じてみませんか。

『日本国憲法前文お国ことば訳 わいわいニャンニャン版』

勝手に憲法前文をうたう会 編
岩合 光昭 しゃしん
小学館

この本は、タイトルの通り日本国憲法の前文を、日本各地のお国ことば、つまり方言に訳そうというものです。
言いだしっぺは、我らが高知に在住・ニラ農家のオバちゃんこと山猫母(やまねこはは)さん。
インターネットや様々な人々の協力で47都道府県を網羅することができました。

正直なところ私自身も山猫母さんと同じく、護憲派でも改憲派でもありません。
恥ずかしながら、憲法をきちんと読んだことのなかった私は、憲法前文に書かれている、
「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」
というこの言葉を、純粋にすばらしいと感じました。それぞれのご当地の、味のあるお国ことばでさらに輝きが増しています。

岩合さんによるご当地ニャンコとともに、各地の言葉も楽しみながら憲法を身近に感じてもらえたらと思います。

(2014年 5月 担当:司書)

かっこよく生きろ!

『蜷川実花の言葉集』

蜷川実花
イースト・プレス

今回は『蜷川実花の言葉集』という本をご紹介したいと思います。

写真家・蜷川実花さん。その作品世界は艶(つや)やかで鮮やかという印象を持っていましたが、蜷川さんその人については、あまり知りませんでした。
この本は、さまざまなインタビューの言葉の中から抜粋してまとめられたものです。

自分は自分、人は人。自分の世界を持っていて、人として潔くとてもかっこいい人だと思いました。
まさに彼女の座右の銘、「かっこよく生きろ。」そのものです。
冒頭の数ページに、極彩色で艶やかな魅力あふれる花々の写真があり、言葉だけでなく彼女の世界観に少しふれられます。

ブレない人生を送る蜷川さんの、ちょっと迷った時や落ち込んだ時、背中を思いっきり押してくれる、そんな言葉たちでいっぱいの本書。
私も、「ほしいもんは自分からとりに行かせていただきます!」精神でいきたいと思いました!!

(2014年4月 担当:司書)

お義母さん!トイレはこっちです

『スーパー嫁の汗と笑いの在宅介護』

バニラファッジ

バニラ家は7人家族。妻のファッジ・夫・義母・叔母・子供3人と猫2匹の大家族である。日常の家事を想像するだけで大変そうだが、それに加えて嫁のファッジは、義母と叔母2人の在宅介護までしている。
ところが、そこに悲壮感はなく、嫁であるファッジは、バイタリティーにあふれ、ユニークな発想で、介護をする姿が描かれている。
 また、実体験をもとに毎日の介護を、いかにして乗り切るかを、駆使するための工夫もされている。それは、実際に在宅介護をしている人の参考となるのでは?!
 介護に関する制度なども、わかりやすい説明がされているので、福祉をこれから学ぼうとしている皆さんにも、おススメの1冊である。
 
2014年 4月 担当:司書教諭

あの日の福島第一原発。

『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五○○日』

門田 隆将
PHP研究所

東日本大震災から3年という月日が経ちました。
震災は、さまざまなものを奪い、破壊し、
自然の前では、人はいかに無力であるかということを知らしめました。
いつ終息を迎えるのかわからない原発事故。
未だ復興の道のりは厳しい現状のなか、風化の声さえ聞こえてきます。
あの日を忘れないことは私たちの未来のためにも、とても大切だと思います。

今回は、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』をご紹介します。
この本は、2013年に亡くなった福島第一原子力発電所元所長の吉田昌郎さん、そして現場の人々の原発との闘いの記録です。

あの時、あの場で何が起きていたのか。人々の現状が克明に書かれています。
未曾有の状況のなかで、最善の努力を尽くしてくれたこと、人々の使命感の強さを感じました。
現場で作業をされている方には、本当に頭の下がる思いです。
そして、指揮をとっていたのが吉田さんだったからこそ、という思いが強く残りました。
ぜひとも、多くの方に読んでいただきたい一冊です。

(2013年 3月 担当:司書)

学校を巣立っていくみんなに、感謝をこめて。

『ありがとう、さようなら』

瀬尾 まいこ
メディアファクトリー

今月は、本校も2月15日が高校の卒業式、2月28日が専攻科の修了式です。

卒業シーズン。
ということで今回は、瀬尾まいこさんの『ありがとう、さようなら』をご紹介したいと思います。

瀬尾さんは、実際に教師をされていた経験を持つ作家さん。
赴任先の丹後にある小さな中学校での出来事をもとに書かれたエッセイです。
映画化もされた『幸福な食卓』で主人公が苦手だと言っていた給食の鯖のエピソードなどもあり、教師としての“瀬尾せんせい”の素顔が作品の舞台裏とともに垣間見られます。

生徒たちとの楽しくて少し切ない日常。
瀬尾さんが教職を志したきっかけや仕事について書かれている「教師という仕事」には、
「生徒と一緒に何かを創っていくのは、ぞくぞくする。行事に授業、掃除、給食、係活動。面倒だけど、どれも楽しい。」とあります。
“せんせい”という仕事の醍醐味が凝縮されている言葉だなぁと思いました。

学校を巣立っていくみんなに、感謝をこめて。
ありがとう、さようなら。

(2014年 2月 担当:司書)

「一瞬を永遠に変え、永遠を一瞬に凝縮し、駆ける。駆ける。」

『天翔る』

村山 由佳
講談社

【あらすじ】
小学生のまりもは、ある事件がきっかけで学校へ行けなくなってしまった。
そんな彼女と偶然知り合った看護師の貴子は、馬たちのいる牧場へと誘い――。

今年は午年。というわけで、馬にちなんだ本をご紹介したいと思います。
この作品には、馬牧場だけでなく、乗馬耐久競技(エンデュランス)という耳慣れない馬術競技も登場します。
この競技は、レースをただ完走することが目的ではなく、騎手は常に乗っている馬の健康状態にまで気を配らなければなりません。
まさに”人馬一体”が求められるのです。

競技途中に馬が動かなくなってしまい、誰も見ていない今なら、ルール違反になる小枝で馬を打っても…とまりもは一瞬考えてしまいます。
でも、誰よりも「馬に対してフェアであることを放棄してしまうくらいなら、
長い、ながい距離を共に走りきった時、馬の目をまっすぐ覗きこめる自分でいられないのなら…」と思う、まりもの気持ち。
生きていく上でとても大切なことだと思いました。
馬が身近にいないこともありますが、主人公のまりもと共に、未知の世界を体験することができ、神々しいまでのその存在感を感じることができました。

(2014年 1月 担当:司書)


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